Claude Codeワークブック
Claude Code(TUI中心)を、インストールから自分専用のスキル・エージェント構築まで。手を動かしながら読み進める実践ワークブックです。
導入 — なぜClaude Codeを使うのか・今日のゴール
0-1. Web版・Slack版との違い
聞けば答えてくれる相談相手
実際にファイル操作・外部サービス連携まで手を動かして代行してくれる
具体例で比較:
| やりたいこと | Web版・Slack版 | Claude Code(TUI) |
|---|---|---|
| 「今週の商談メモを要約して」 | テキストを貼れば要約してくれる | Google Driveから商談メモを自分で探して読み込んで要約してくれる |
| 「毎週月曜に競合の新着投稿をチェックして」 | 毎回自分でお願いする必要がある | 毎週月曜に自動で実行され、結果だけSlackに届く |
| 「売上データを集計して」 | データを自分でコピペして渡す必要がある | 販売管理システムに直接ログインしてデータを取得・集計してくれる |
- Web版・Slack版: 質問して答えをもらう。実行するのは自分
- Claude Code: 手順を渡せば、ファイル作成・外部SaaS操作・定期実行まで実際にやってくれる
0-2. 今日のゴール(持ち帰るもの)
研修が終わったときに、以下があなたの環境にある状態を目指します。
.claude/フォルダの構成理解 — CLAUDE.md/MEMORYを実際に使った経験今日ツールの使い方を覚えても、半年後にはClaude Codeが進化して一部のテクニックは陳腐化する。でも、「AIにどう向き合うか」の原則は、AIツール全般に通用する一生モノの資産。
最初にやる設定
1-1. Claude Codeのインストール
# ターミナルで実行 $ npm install -g @anthropic-ai/claude-code ...インストールが進む... $ claude --version 1.x.x ← バージョンが表示されればOK
ターミナルとは: 文字でPCに命令するための「黒い画面」。Macなら標準アプリ「ターミナル.app」
npmとは: Node.jsのパッケージ管理ツール。世の中のツールを1コマンドでインストールできる仕組み
1-2. 起動してみる(実際のやり取り例)
$ claude
> こんにちは、自己紹介してください
Claude: こんにちは!私はClaudeです。文章作成、調査、データ分析、
ファイル操作などをお手伝いできます。何かお手伝いできることはありますか?claude と打つと、対話画面(TUI)が開く。ここから先のやり取りは基本的にこのTUI上で行う。
1-3. アカウントとプライバシー設定(最重要)
claude.ai → 設定(Settings)→ Privacy → 「会話をモデルの学習に使用」がオフになっているか確認。チーム契約は基本的にオフ設定済みだが、心配な場合は確認する。
1-4. 機密情報の扱い方(絶対に守ること)— 具体例で確認
| NG(そのまま入力しない) | 対応方法 |
|---|---|
| 特定個人の氏名 × 評価/懲戒/給与の情報 | 「ある社員の対応」のように抽象化する |
| 契約金額・原価率など非公開の数字 | 概算・レンジで話す、もしくは入力しない |
| 顧客の非公開情報・契約条件 | 固有名詞を伏せて相談する |
Before / After の実例
AIとのやり取りは便利な反面、何を渡すかは自分の判断に委ねられている。個人の判断がバラつくと、意図せず機密情報が外部に流出するリスクが積み上がる。「これって入れていいんだっけ?」と迷ったら、まず抽象化してから聞くを習慣にする。これが後述の「開発ガバナンス」とも根っこでつながっている。
1-5. Claude Code開発ガバナンス5原則(松田さんルール)
CTO松田さんが2026年6月、社内研修で発表した全社ルール(#9999_claude_相談窓口)。
「作るのは止めない。見えないまま動かすのだけをやめる」
AIで何かを作ること自体は歓迎されている。ただ、誰も把握していない場所で勝手に動いている状態(=見えないリスク)だけは避けたい、という考え方。門番ではなくガードレール。
Claude Codeを活用した開発は非常に便利な一方、気づかないうちにコストが積み上がったり、セキュリティやデータの取り扱いにおいて出口が見えにくくなったりするなど、"見えないリスク"も増えている。だからこそ、以下の5つを「安心して開発を進めるためのガードレール」として共有する。
判断の起点: ローカル完結・無料なら自由。外につながる時・お金が動く時だけ管理する。
| # | 原則 | 具体的に何をするか |
|---|---|---|
| 1 | 学習に使われない設定にする | 1-3で確認した通り。claude.aiの個人契約はSettings→Privacyで「訓練に使用」をオフ。Teamは基本オフ済み |
| 2 | GitHubは非公開で、シークレットは置かない | リポジトリはPrivateかInternalで作成(迷ったらInternal、Publicは特別な理由がない限り作らない)。APIキー・tokenは.envで管理しpushしない |
| 3 | 個人契約・個人アカウントで利用し続けない | 試作中は個人アカウントでOK。ただしクラウドにホストする時点/会社の資産・情報を使い始める時点から個人アカウントのままは禁止。チーム契約へ移す |
| 4 | 管理台帳に登録する | ホストするツール・外部接続するツール・課金するサービスは台帳に登録する。チーム管理されていないサービスの課金は禁止 |
| 5 | クラウドホストはエンジニアレビュー必須 | 外部接続・課金・クラウドホストするものは公開前にエンジニアのレビューを通す。ローカル完結ならレビュー不要(スピードは落とさない) |
実務での適用(早見):
- ローカル完結・無料・自分だけ → 自由に作ってOK(GitHubに上げるなら原則②も)
- ローカルでもグループ共有 or 会社データ利用 → 原則①②③④
- クラウドにホスト → 原則①②③④に加え⑤(エンジニアレビュー)必須
Claude Codeを使いこなす人が増えるほど、「便利だから」で見切り発車したツールが社内に散らばりやすくなる。個人アカウントのまま野良運用されたツールは、担当者の退職・異動でアカウントごと消えたり、誰も把握しないまま外部に公開され続けたりする。5原則は「作る自由」を制限するのではなく、「作ったものが後で困らないようにする」ための最低限の型。
迷ったら #9999_claude_相談窓口 へ。台帳・課金の複合ケースは松田さんに確認。
- 自分のPCに
claudeをインストールする(済んでいる人はスキップ) claudeを起動して、「こんにちは、自己紹介してください」と話しかけてみる- claude.aiの設定画面を開き、「会話をモデルの学習に使用」がオフになっているか確認する
- 開発ガバナンス5原則を読んで、自分が知っている社内のClaude連携ツールが「ローカル完結」か「外部接続あり」かを考えてみる
Claude Codeの基本操作
2-1. TUI / GUI / Editor / Channels の使い分け
| モード | 向いている場面 | 具体例 |
|---|---|---|
| TUI | サッと使いたい・複数プロジェクトを行き来する時 | 「今日の競合チェックだけやりたい」 |
| GUI | マウス操作に慣れたい・視覚的に確認したい時 | 「資料を見ながら会話したい」 |
| Editor拡張 | コードを書きながら同時に相談したい時 | 「このツールのバグを直したい」 |
| Channels | PCの前にいない時、スマホから指示したい時 | Discord/SlackにBotとして常駐させる方法(今日は割愛。興味があれば個別に案内) |
2-2. .claude/フォルダの全体像
Claude Codeを本気で使うなら、まず整えるべきなのが .claude/ フォルダ。ここが「Claudeにどう動くかを教える司令塔」になる。
- CLAUDE.mdプロジェクト全体のルールや指示を書くマニュアル
- rules/ルールが増えてきたら機能ごとに分割して管理
- commands/よく使う作業をスラッシュコマンド化(Part 6で扱う)
- skills/状況に応じて自動実行されるワークフローを定義
- agents/レビュー担当など役割ごとのAIを作成(Part 7で扱う)
- settings.json実行権限や許可範囲を細かく管理
2種類の.claude/がある:
| 種類 | 場所 | 用途 |
|---|---|---|
プロジェクト内の.claude/ | 各プロジェクトフォルダ直下 | チーム全体で共有する設定。Gitで管理する |
~/.claude/(グローバル) | ホームディレクトリ直下 | 個人専用の設定。プロジェクトをまたいで使える自動メモリ(MEMORY)などを保存 |
.claude/は単なるフォルダではないClaude Codeの開発環境そのものを支えるインフラ。適切に設計するだけで、コード品質・自動化・チーム開発の効率は大きく変わる。
2-3. CLAUDE.md(プロジェクト共有ルール)— 具体例
プロジェクトのルール・注意事項を書いておくファイル。GitHubで管理すればチーム全員に共有される。
実際の例(TikTok Shop運用プロジェクト用)
# CLAUDE.md ## このプロジェクトについて 担当ブランドのTikTok Shop運用を効率化するプロジェクト ## ルール - 競合の投稿をチェックする際は、必ず公開情報のみを参照する - 売上データを集計する前に、必ず「対象期間」を確認してから進める - クライアント名は社内共有のため実名でよいが、社外に出す資料では匿名化する - 集計結果は必ず担当チャンネルに要約して報告する
2-4. MEMORY(個人の好み・役割を継承させる)— Before/Afterで比較
MEMORYは、実は2-2で紹介した ~/.claude/(グローバル)に保存される自動メモリの仕組みそのもの。
Claude Codeが「あなたがA社・B社のアカウントを担当している」ことを覚えている前提で、説明なしに動いてくれる。
覚えさせる時の言い方の例
> 私はTikTok Shop運用担当で、A社・B社のアカウントを管理しています。これを覚えておいてくださいAIは"新人"と同じ。毎回ゼロから教えるか、マニュアルを渡して読ませるかで、出力品質に天と地の差が出る。CLAUDE.md/MEMORYは「自分の文脈をAIに継承させる仕組み」そのもの。
2-5. Obsidianを「第二の脳」にする(応用)
CLAUDE.md/MEMORYと同じ考え方(自己紹介・ルールを書いて覚えさせる)は、自分の知識管理にも応用できる。TORIHADAでも日報・ナレッジ管理にObsidian(無料のメモアプリ)を使っている人が多い。
フィードバックがあるかどうか。貯めるだけのvault(保管庫)は「よく出来たフォルダのついた墓場」。入れっぱなしの情報は、自分から探しに行く理由がなければ二度と開かれない。AIから話しかけてくる状態を作って初めて、知識が資産になる。
なぜObsidianなのか: ただのテキストファイルの集まりなので、AIが「このフォルダのこのファイルを読む」と探しやすい。Claude Codeならファイルを直接読めるので、貼り付けなくても自動で読み込まれる。スマホの標準メモやチャットのメモだと増えるほど散らかるが、Obsidianなら専用の引き出しを1個作れるので増えても崩れない。
最小構成(5つだけ):
- inbox/とりあえず全部ここに入れる(未処理の置き場所)
- notes/読んだ記事・整理済みのメモ
- ideas/自分の考え・思いついたこと
- projects/今取り組んでいることのメモ
- CLAUDE.mdAIへの取扱説明書(vault専用)
vault用CLAUDE.mdのテンプレート
# 自己紹介 名前: / 仕事: / 今フォーカスしていること: / 今年の目標: # 今のプロジェクト 進行中: / 詰まっているところ: / 次のマイルストーン: # このvaultの使い方 - inbox: 未処理の置き場所 - notes: 整理済みの記事・メモ - ideas: 自分の考え - projects: 進行中の仕事 # AIにしてほしいこと - 気づいていないつながりを教えて - すぐ同意せず、前提を疑ってから答えて - 「何にフォーカスすべき?」と聞かれたら、vaultの中身を踏まえて答えて。一般論で返さない - 前に書いたことと矛盾していたら教えて # 今読んだり考えたりしていること(毎週更新)
毎朝「話しかけてくる」仕組み(手動でOK)
> Obsidianのvaultを見て。/inboxの直近24時間分と、/notesの直近7日分を読んで、次の3つをやって:
① CONNECTIONS: 最近のメモと過去のメモの間で、まだ気づいてなさそうなつながりを3つ、具体的に
② PATTERN: 今週読んでる/考えてる内容に共通するパターンを1つ
③ QUESTION: そのパターンを踏まえて、今日考える価値のある問いを1つ
/inbox/brief-{{日付}}.md に保存して週1回、腰を据えて話す仕組み(15分)
> Obsidianのvault全体を読んで、直近7日間に追加したものを中心に、次の4つを教えて:
① まだ言葉にしていない、育ちつつある考え
② 前に書いたことと矛盾していること
③ 読めていない視点・知識のギャップ
④ 今週一番てこの効く一手
遠慮せず、知ってることの要約はしないで実例: 失敗から学ぶ「第二の脳」
仕事でミスやヒヤリハットがあったら、「①何が起きたか ②真因 ③再発防止ルール」の3点セットでvaultに1本追記する運用も効果的。次に似た作業をする前に「関連する過去の失敗ある?」とAIに聞けば、忘れていた注意点を思い出させてくれる。
実際に効いている学びの例(一般化したもの):
- 「エラーなく完了しました」は「正しい」ではない — 成果物は最終形式まで必ず開いて目で見る
- 「該当なし」「0件でした」を一度疑う — 本当にゼロなのか、検索条件や取得件数の上限に引っかかっているだけなのかは別
- 同じやり方で2回失敗したら、3回目は手段を変える — 別の聞き方・別の切り口を試す
- 「これで何件変わるか」を数えられない一括作業はまだ実行しない
Part1の「機密情報の扱い方」やPart9の「ハルシネーション注意」も、実際にあった学びを一般化したもの。失敗を貯めて資産にするのが、AIと長く付き合うコツ。
2-6. フォルダ整理・GitHub命名ルール — 具体例
- tiktokshop/
- competitor-check/競合チェック関連
- training/研修資料(このファイルもここ)
- analytics/
- sales-report/売上レポートツール
- 作業ファイルは
~/Projects/配下に、プロジェクトごとにサブフォルダを作って保存する - 直下に置かず、必ずフォルダ分けする
迷ったらInternal。Publicは特別な理由がない限り作らない。APIキー・トークンは.envで管理しGitHubにpushしない(開発ガバナンス原則②)。
- 自分の担当業務を1つ選び、簡単な
CLAUDE.mdを1つ書いてみる(3行でOK。「このプロジェクトは何か」「守ってほしいルール」を書く) - Claude Codeに「私は◯◯担当です。覚えておいてください」と実際に伝え、別の話題を少し挟んでから「私の担当業務は何でしたっけ?」と聞いて、覚えているか確認する
ls -la ~/.claude/を実行して、自分の環境に実際にどんなファイル・フォルダがあるか覗いてみる- Obsidianを開く(未インストールなら公式サイトからダウンロード)。vault直下に
CLAUDE.mdを作り、テンプレートの「自己紹介」だけ埋めてみる。手元のメモを1つinboxフォルダに入れてみる - 余裕があれば、ちょっとした失敗を1つ「①何が起きた ②真因 ③ルール」で1行書いてみる
AIと働くマインドセット
3-1. なぜ「マインドセット」を先にやるのか
Claude Codeの操作は1日で覚えられる。でも、Claude Codeを業務に組み込むには、「AIに何を任せ、何を任せないか」「失敗したときどう振る舞うか」の判断軸=マインドセットが必要。
半年後にツールが進化しても、「AIにどう向き合うか」の原則はAIツール全般に通用する一生モノの資産。
3-2. AIと働く6つの原則
原則① — AIは「部下」ではなく「同僚」として扱う
理由: AIは"従順だが文脈を持たない新人"です。指示書を渡すマネージャーの感覚で接する。
実践: 目的(Why)を必ず最初に伝える/制約(締切・予算・対象者)を明記する/「途中で迷ったら確認して」と一言添える
原則② — 業務を「構造化」する癖をつける(=スキル化の素地)
理由: 「自分の業務を手順で書ける」=「スキル化できる」状態。構造化できない業務はAIに任せにくく、構造化できた瞬間にスキル化→量産化が見える。同じ手順が2回出てきたらPart 6のスキル化対象にメモする。
原則③ — 「やらせる」と「自分でやる」の線引きを持つ
| AIに任せていい仕事 | 自分でやるべき仕事 |
|---|---|
| 提案資料の下書き、競合調査、SNS投稿文のドラフト、売上データの集計、アイデア出し・壁打ち | クライアントとの直接交渉、契約条件の最終判断、炎上対応の意思決定、生成物の事実確認、戦略の方向性決定 |
覚え方: AIは"下書きと素材集めと分析"は最強、"判断と関係性"は人間がやる。この原則は、Part 5で扱う「Slack送信・メール送信は必ず人が確認してから」というルールの根っこにもなっている。
原則④ — AIに「自分の文脈」を継承させる(CLAUDE.md / MEMORY / feedback)
Part 2で実際にやった通り。一度伝えた前提はCLAUDE.mdかMEMORYに残し、次回からAIが覚えている状態を作る。修正指示が同じパターンで2回出たら → feedback_*.md に蓄積する。
具体例: 「日付の書き方がいつも西暦と和暦で揺れる」と2回指摘したら、「日付は必ず西暦で書くこと」とMEMORYに保存させる。次回から指摘不要になる。
原則⑤ — AIを「個人ツール」ではなく「チームの常駐戦力」として抱える
理由: AIを個人ツールに留めると「あの人しかAIを使いこなせない」属人化が起きる。チーム共有のチャネルに常駐させると、メンバー全員が同じAIを使え、AIが"1人のアシスタント"から"チームの戦力"に進化する。1人で今すぐ使いたいだけなら、Remote Control(Part 4)でスマホから続きを操作する方法もある。
原則⑥ — 「失敗ログ」を残して、同じミスを繰り返さない
①Claude Codeから怒られた・間違えられたら、メモする ②同じことが2回起きたら、ルール化する ③ルールをClaude Codeに食わせる(CLAUDE.md or MEMORY経由)
例え: 新人教育と同じ。「前に教えたよね?」が増えるなら、マニュアル化する。Part 2で紹介したObsidianの「失敗アーカイブ」運用は、まさにこの原則の実践形。
3-3. マインドセット6原則 まとめカード
→ このカードをスクショして、Obsidianの 30_Knowledge/ 相当のフォルダに保存することを推奨。
- 自分の業務を1つ選び、原則②のやり方で3〜7ステップに分解して紙かメモに書き出す
- 分解した手順を使って、実際にClaude Codeに「①…②…③…の手順でお願いします」と依頼してみる
- 出てきた結果に対して「もう少し◯◯にして」と1回追加で頼み直してみる(原則①の実践)
Remote Control — スマホ・別デバイスから使う
4-1. Remote Controlとは
「今動いているセッションを、別デバイスから覗く・操作する」機能。Discordのようにボットを作る手間なく、その場で今動いているセッションに接続できる。
claude --remote-control
起動すると、通常どおりターミナルで対話セッションが始まると同時に、ブラウザ接続用のセッションURLとモバイルアプリ用のQRコードが表示される。
接続方法(いずれか):
- 表示されたURLをブラウザで開く
- Claude iOS/Androidアプリでモバイル画面からQRコードをスキャンする
- claude.ai/code のセッション一覧から探す(PCのアイコンで見分けられる)
接続後にできること:
- 別デバイスからメッセージ送信・ファイル添付・操作がすべて可能
- 複数デバイスから同時に接続でき、ローカルターミナル・スマホ・ブラウザを行き来しながら作業できる
- サブエージェントやワークフローの進捗もリアルタイムで同期表示される
Pro/Max/Team/Enterpriseプランが必要(APIキー認証では使えない)。Team/Enterpriseプランでは管理者がadmin-settingsで事前に有効化している必要がある(デフォルトはOFF)。claude.aiアカウントへのログインが必要。PC側のプロセスが動き続けている必要がある(ターミナルやVSCodeを閉じるとセッションは終了する)。
claude --remote-controlを実行する- 表示されたQRコードをスマホのClaudeアプリでスキャンし、接続してみる
- スマホ側から一言メッセージを送り、PC側のターミナルに反映されるか確認する
SlackやGoogleと連携する
5-1. コネクタとは
claude.aiの個人アカウントで、SlackワークスペースやGoogleアカウントをあらかじめ接続しておくと、Claude Codeからも直接それらのデータを読み書きできるようになる仕組み。
5-2. 接続のやり方
claude.ai → 画面左下のツールボックス → Customize → Connectors → 「+」から接続したいサービスを選び、OAuth認証で接続する。
| サービス | 対応プラン |
|---|---|
| Slack | Pro/Max/Team/Enterprise |
| Google Drive / Gmail / Calendar | Freeを含む全プラン |
TORIHADAのこの環境では、claude.aiで接続すればClaude Code側でも使えるようになっている(この研修資料自体、実際にその状態で作成している)。ただし環境によっては別途設定が必要な場合がある。うまく使えない場合は情シス/管理者に確認すること。
5-3. 接続すると何ができるか(具体例)
[Slack] > #general チャンネルの直近の議論を要約して > 自分宛のメンションで未読のものを教えて [Google Drive] > 共有ドライブから「〇〇規程」というファイルを探して > このスプレッドシートを読み込んで部署別に集計して [Gmail] > 「見積書」という件名のメールを検索して > この内容で返信の下書きを作って [Google Calendar] > 来週の自分の予定を確認して > 火曜の14時に「面談」の予定を入れて
5-4. 注意点
- 専用アカウントで接続する方が安全(プライベート個人アカウントは避ける)
- 最初は読み取り専用の範囲から始め、必要になったら書き込み権限を追加する
- メッセージ送信・投稿・メール送信は自動化せず、必ず人が最終確認してから実行する(原則③のとおり、下書きまでがAI、送信は人)
- claude.aiのConnectors画面を開き、SlackかGoogleのいずれかを実際に接続してみる(すでに接続済みの人は次へ)
- Claude Codeで「〇〇を確認して」と実際に聞いてみる(例: 自分の今日の予定、自分宛の最近のSlackメンション等)
- 送信・投稿系の操作を試す場合は、必ず下書きの内容を自分の目で確認してから送信する
スキル作成 — 業務自動化を量産する
6-1. スキルとは何か
スキル = "プロンプトの型紙"。毎回同じ依頼をするなら、その依頼をファイルに保存して /コマンド で呼べる形にする。これだけ。難しい技術は不要。
6-2. 具体例で見るスキルの中身
実際の例(競合の新着投稿チェック)
--- description: 競合アカウントの新着投稿を自動チェック。エンゲージメント率が高い投稿を抽出し、自社アカウントへの応用ポイントをまとめる argument-hint: "<競合アカウント名(任意)>" --- # /competitor-check - 競合の新着投稿チェック ## 実行ステップ ### Step 1: 対象アカウント確認 チェック対象の競合アカウントを確認する ### Step 2: 新着投稿の確認 過去1週間の新着投稿を確認し、エンゲージメント率を確認する ### Step 3: 出力フォーマット ## 競合チェック YYYY-MM-DD - [ ] 対象アカウント: ○○ - [ ] 注目投稿: ○○(エンゲージメント率◯%) - [ ] 自社への応用ポイント: ○○
これを ~/.claude/commands/competitor-check.md に保存するだけで /competitor-check が使えるようになる。
6-3. スキル作成の鉄則
① 「Skill作って」とClaude Codeに頼む(自分で書かない)
> 私の業務で毎週繰り返してる「競合の新着投稿チェック」をスキルにしたい。
毎回やる手順は次のとおり:
1. 競合アカウントの新着投稿を確認する
2. エンゲージメント率が高い投稿を抽出する
3. 自社アカウントへの応用ポイントをまとめて出力する
これを /competitor-check というコマンドで呼べるスキルにしてください。→ Claude Codeが ~/.claude/commands/competitor-check.md を自動生成。自分でMarkdownを書く必要なし。
/competitor-checkは良い例、/Competitor_Analysis_Weekly_Checkや/pは悪い例/competitor-check A社のように引数を渡せる6-4. スキル管理のコツ
| 個人スキル | チームスキル | |
|---|---|---|
| 場所 | ~/.claude/commands/ | GitHubで管理 → 各自 git clone |
| メリット | 自分専用なので自由 | チーム全員で同じ品質 |
- 自分の業務で「毎回同じことをやってるな」と思うものを1つ選ぶ
- その手順を3〜7ステップで書き出す(Part 8のハンズオンで実際に作る準備)
専門エージェント構築 — MCP/CLIの考え方から解剖まで
7-1. MCPとCLI — AIが外部ツールを使う2つの手段
| 項目 | CLI | MCP |
|---|---|---|
| 何 | ターミナルで叩くコマンド。AIからはBash経由で同じコマンドを呼べる(例: git / gh / claude) | AI専用の接続プロトコル。2024年11月Anthropic公開(例: Calendar / Gmail / Slack) |
| 設計思想 | 人間操作前提 | AI操作前提 |
| AIから見た使いやすさ | 中(コマンド構文の知識が必要) | 高(自動でツール一覧を取得) |
| 認証 | サービス独自方式 | 標準化(OAuth/APIキー) |
| 対応範囲 | 既存サービスほぼ全て | MCPサーバーがあるサービスのみ |
具体例: マネフォ勤怠にはMCPがまだないので、手順書+CLIでログイン操作を自動化。Slack・カレンダーはMCPがあるので、Part 5で接続した状態で直接呼び出せる。
使い分け原則: 既にCLIがある→AIに使わせる。ツールを増やす→MCPで追加。
MCP/CLIだけ → 「ツール集」/エージェントだけ → 「人格はあるが手がない」/両方そろって → 「外部世界を動かせるAI」が完成
7-2. エージェントとは何か(スキルとの違い)
| スキル | エージェント | |
|---|---|---|
| 単位 | 1つの業務手順 | 専門領域全体 |
| 中身 | プロンプトの型紙 | 役割定義+判断基準+使えるスキル群 |
| 呼び出し方 | /competitor-check | 「TikTok Shopエージェントを使って〜」(自然言語) |
| 例え | 一つのレシピ | レストランのシェフ |
ポイント: スキル = "何をするか" の手順書。エージェント = "誰がやるか" の人格・専門性。
7-3. 具体例で見るエージェントの中身(TikTok Shop運用エージェント)
--- name: tiktokshop-assistant model: sonnet description: TikTok Shop運用関連の業務を担当。競合チェック、売上集計、インフルエンサー選定など。 --- あなたはTORIHADAのTikTok Shop運用を支援する専門エージェントです。 担当ブランドの売上最大化に向けて、競合分析とデータ集計を正確に行うことが役割です。 ## 担当業務 - 競合アカウントの新着投稿チェック・分析 - 週次売上データの集計・可視化 - インフルエンサー候補のパフォーマンス分析 ## 専門外 - クライアントとの契約交渉そのもの → 営業担当が行う - 炎上対応の判断 → 人間が行う ## 判断基準 - データの正確性を最優先(曖昧な場合は必ず確認を求める) - クライアントへの提案資料は下書きまで、最終判断は人が行う ## よく使うスキル - /competitor-check - /creator-analytics
| 学べる設計パターン | 内容 |
|---|---|
| 役割宣言を冒頭に置く | 「あなたは●●を支援する専門エージェントです」で人格固定 |
| 担当業務を網羅列挙 | 「自分の範囲」を明確化 → 雑な依頼にも対応できる |
| 専門外を明示 | 守備範囲を超えたタスクを別エージェントに渡す判断ができる |
| 判断基準を書く | 「正確性優先」「送信は人が行う」で意思決定をぶれさせない |
| モデルを指定 | 軽い業務はsonnet、深い判断が必要ならopus |
7-4. エージェント定義のテンプレート(最小構成)
--- name: [エージェント名] # 小文字ケバブケース model: sonnet # 軽い業務はsonnet、深い判断が必要ならopus description: [どんな業務を担当するか。1〜2文。トリガーワードを含める] --- あなたは [所属組織] の [専門領域名] エージェントです。 [業務の目的を1文で]。 ## 担当業務(このエージェントに任せる仕事) - [業務1] - [業務2] - [業務3] ## 専門外(このエージェントが断る仕事) - [専門外1] → [推奨エージェント] ## 判断基準 - [優先順位1]: [理由] ## よく使うスキル - /[スキル1]
7-5. エージェントを作る5ステップ
- 自分の担当業務の中から「専門エージェントにしたい領域」を1つ選ぶ
- 「担当業務」を3つ、「専門外」を2つ、それぞれ書き出す
- tiktokshop-assistantの例を参考に、自分用のエージェント定義をテンプレートに沿って埋めてみる(この時点ではまだ保存しなくてOK。Part 8で実際に作る)
ハンズオン — 自分専用スキル&エージェントを作る
説明は十分にしてきたので、ここからは手を動かす時間。自分の業務を実際にスキル化し、エージェント化する。
| 時間目安 | やること |
|---|---|
| 0〜8分 | スキル化してもらう(Claude Codeに依頼+確認) |
| 8〜16分 | エージェント化してもらう(Claude Codeに依頼+確認) |
| 16〜25分 | テスト実行 → 動作確認・微調整 |
事前準備:テーマ持参
以下から1つ選んで研修に来てください: 自分のチームの週次レポート作成/自分の担当業務の定型集計/業界ニュースのダイジェスト作成
Step 1: スキル化
> 私の [テーマ] をスキルにしたい。
毎回やる手順は:
1. [...]
2. [...]
3. [...]
コマンド名は /[your-name]-[task] で、~/.claude/commands/ に保存して。→ ファイルが生成されたら ls ~/.claude/commands/[your-name]-*.md で実在確認。
Step 2: エージェント化
Part 7のワークで書いた「担当業務」「専門外」をそのまま使う。
> いま作った /[skill-name] を中心に、私の [専門領域] 全般を任せられる
エージェントを作ってください。
- name: [your-name]-assistant
- model: sonnet
- 担当業務: [Part 7で書いた3つ]
- 専門外: [Part 7で書いた2つ]
~/.claude/agents/[your-name]-assistant.md に保存して。→ ファイルが生成されたら ls ~/.claude/agents/[your-name]-*.md で実在確認。
Step 3: テスト実行
> [your-name]-assistant エージェントを使って、[テスト用タスク] をやってみてください。期待した動きをするか確認。OKなら持ち帰り完了。微妙なら「もう少し◯◯にして」と日本語で追加指示し、修正させる。
成功の判定基準
| 達成 | 未達成(要改善) | |
|---|---|---|
| スキル | /[name]-[task]で起動できる | エラーで起動しない |
| エージェント | 自然言語の呼び出しで応答する | 応答しない |
| 品質 | 想定の8割は再現できる | 全く違うものが出る |
未達成なら、研修後に Claude Codeに「修正して」と頼めばOK。
注意点・まとめ
9-1. ハルシネーション(もっともらしい間違い)に注意
数字・日付・固有名詞・URLは必ず自分で1次情報を確認する。
具体例: 「先月のTikTok Shop流通額は◯万円でした」と即答されても、実際の管理画面の数字を必ず確認してから使う。
9-2. 生成物をそのまま提出しない
下書き・集計結果は必ず人間が中身を確認してから使う。
9-3. 機密情報・送信操作の扱いを継続する
- 機密情報はPart1のルールを継続(Claude Codeはファイルアクセス範囲が広いため特に注意)
- Slack送信・メール送信などの外部発信操作は、Part5のとおり必ず人が最終確認してから実行する
- 開発ガバナンス5原則(Part1)は、ツールを作り始めたら継続的に意識する
9-4. 今日持ち帰ったもの
.claude/フォルダ・CLAUDE.md/MEMORYの理解9-5. 困ったときは
操作で詰まったら → スクリーンショットを撮ってClaude.aiに質問。同じミスを繰り返しそうなら → feedback_*.mdやObsidianにルール化して蓄積。
チートシート・用語集
付録A: マインドセット6原則
付録B: 開発ガバナンス5原則
付録C: .claude/フォルダ構成
- CLAUDE.mdプロジェクト全体のルール
- rules/ルールを機能ごとに分割
- commands/スラッシュコマンド(Part 6)
- skills/自動実行されるワークフロー
- agents/役割ごとのAI(Part 7)
- settings.json実行権限・許可範囲
プロジェクト内の.claude/ → チーム共有・Gitで管理 / ~/.claude/(グローバル)→ 個人専用・自動メモリを保存
付録D: 用語集
- CLI(Command Line Interface)
- ターミナルからコマンド・引数で操作する方式全般。
claude --remote-controlのようにコマンド一発で実行する使い方。Claude Codeは「CLIツール」としてインストール・起動する - TUI(Text/Terminal User Interface)
- ターミナル上で動く対話型の画面。
claudeと打って起動する、チャットのやり取りができる画面そのもの。この資料で教える内容の大半は、実際にはこのTUIの使い方 - GUI(Graphical User Interface)
- マウスで操作するデスクトップアプリ画面
- Editor拡張
- VSCode等のエディタの中からClaude Codeを呼び出す方式
- Channels
- Discord/SlackなどにBotとして常駐させ、チャットから呼び出す方式(今回は割愛)
- MCP(Model Context Protocol)
- AIがSlack/Google等の外部サービスに接続するための標準プロトコル(2024年11月公開)
- CLAUDE.md
- プロジェクトのルールや指示を書いておくマニュアルファイル
- MEMORY
- 個人の好み・役割をAIに継続的に覚えさせる仕組み。
~/.claude/に保存される - Skill(スキル)
- 繰り返す業務を
/コマンドで呼び出せる形にした「プロンプトの型紙」 - Agent(エージェント)
- 役割・判断基準・使えるスキル群をまとめた「人格を持ったAI」
- Remote Control
- 今動いているセッションを別デバイス(スマホ等)から操作する機能
- Connector(コネクタ)
- claude.aiでSlack/Googleアカウント等を接続する仕組み
- GitHub
- ソースコードやプロジェクトファイルをオンラインで保存・共有するサービス。チームでの共同開発や、Cloudflare等へのデプロイ元としてもよく使われる
- デプロイ(Deploy)
- 作ったツール・サイトを、実際にインターネット上で使える状態に公開すること。「GitHubに上げてCloudflareにデプロイする」のように使う
- ハーネス(Harness)
- AIモデル(Claude本体)に、ファイル操作やコマンド実行などの「手足」を与えて実際に作業させる仕組み・器のこと。Claude Code自体が、Claudeというモデルのための「ハーネス」にあたる
付録E: 自分専用エージェント テンプレート
--- name: my-assistant model: sonnet description: 私の[専門領域]を担当。[主要業務1]、[主要業務2]、[主要業務3]に関するタスクで使用。 --- あなたは [所属組織・チーム名] の [役職名] を支援する専門エージェントです。 [業務目的の1文] ## 判断基準(いつこのエージェントを使うか) - トリガー: [トリガーワード1]・[トリガーワード2] - 不向き: [専門外領域1] → [推奨エージェント] ## 担当業務 - [業務1] - [業務2] - [業務3] ## アウトプット基準 - [品質基準1] - [品質基準2] ## よく使うスキル - /[skill1] - /[skill2]
付録F: 次のステップ
今日扱わなかった内容(LP作成→GitHub→Cloudflareデプロイ、Discord連携など)に興味があれば、GM研修シリーズで個別に案内します。